これ以前の話は、婚活参考編(津山の春①)を
ごらんください。
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その日は、日曜日で兄さんも店が忙しくて終ったのは、
夜9時を廻っていた。
電話で■■くんへ電話をした。
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『今から行こうか?』
『こんな時間で大丈夫なんですか?』
『大丈夫や、先方さんからはOKもらってるから。』
『はい・・・』
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■■くんの運転する車が、店に到着する。
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「こんばんは。」
「おう!、ほな行こうか。」
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二人を見送る姉さん。
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「いってらっしゃい、■■くん、リラックス!」
「はい・・・、ありがとうございます。」
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二人は、車の中で色々と話をした。
時々対向する車のヘッドライトが眩しく二人を照らす。
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「実家は、岡山やったね?」
「はい、津山です。」
「小京都って言われてるとこやね?」
「はい。観光の人がよく訪れてきます。」
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■■くんは高校を卒業後、大阪の大学へ入学し兄さんの
店の近くでひとり暮らしをしていた。
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「実家の両親は最近、”いつ結婚するんや?”とぼくの
顔を見たら言うんです?」
「そら26歳やったら、言うやろう」
「はい、でも彼女見つけても”あれがダメ、これがダメ”
って文句ばっかり言うもんで・・・」
「親なんて、そんなもんやで」
「そうですかねえ・・・」
「ところで〇〇さんとこは、地元では名士で人物もええ人や、
娘さんは26歳で■■くんと同い年。」
「そうでしたね。」
「ちょうど、似合いや!、ああ、そこそこ、そこの角の家」
「ここですか?、大きな家だけど嫌味のない作りですね。」
「そうか?、ちょっとベル押してくる。」
「はい・・・」
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兄さんが呼び鈴を押すと、〇〇さんが出てきた。
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「こんばんは〇〇さん、夜分に申し訳ありません。」
「いいえ、こちらこそわざわざお越しいただきありがとう
ございます。」
「こんばんは、はじめまして。」
「こんばんは、わざわざお越しいただきましてありがとう
ございます。どうぞ、中へお入りください。」
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上品な感じの和風のお宅は、それだけで緊張感を演出している。
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「どうそ、こちらの部屋でお座りになってお待ちください。」
「ありがとうございます。」
「失礼します。」
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部屋には2人だけ・・・
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「緊張します。」
「ほんまやな。」
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足音が聞こえる。扉が開く。
〇〇さんだった。
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「すいません。粗茶ですが、どうそ。」
「おりがとうございます。
「頂戴します。」
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お茶がテーブルに置かれる。
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「ぼく・・・、ここに来てから単語しかしゃべってないです。」
「まあ、ええやないか。おっ・・・」
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数人の足音が聞こえてきた。扉が開く。
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「いやあ、すいませんね。こんな時間にわざわざ来ていただいて。」
「いえいえ、こちらこそ押しかけまして・・・。」
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初老の両親に挟まれるように、キレイな女性がいた。
少しうつむき加減のその、女性こそが〇〇さんの娘さんだった。
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「〇〇さん、紹介します。■■くんです。」
「夜分に恐れ入ります。はじめまして、■■◇◇です。よろしく
お願いします。」
「どうも初めまして、〇〇です。こちらが家内で、こちらが
娘の■子です。」
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うつむき加減の女性は、少しだけ顔を上げて
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「■子です。夜分にお呼び立てして申し訳ありません。どうそ、
よろしくお願いします。」
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と、はっきり、そしてしっかりした口調で挨拶した。
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「まあ、みなさん、お掛けください。」
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和やかな雰囲気で、始まったお見合い?でした。
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が、しかし、■■くんは気づいたのです。
スーツは、着ていたのですが、ネクタイをするのを忘れていた・・・
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〇婚活参考編(津山の春③)〇へ、つづく・・・
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